2011年1月13日木曜日

フッ化物歯面塗布

1)フッ化物歯面塗布剤の種類
商品名 形状 配合フッ化物の種類 濃度 メーカー・販売元
弗化ナトリウム液「ネオ」 液状 フッ化ナトリウム 9,000ppmF ナルコーム 中性
フルオールN液 液状 フッ化ナトリウム 9,000ppmF ビーブランド・メディコ・デンタル 酸性
フルオール・ゼリー ゲル状 フッ化ナトリウム 9,000ppmF ビーブランド・メディコ・デンタル 酸性
フローデンA

液状 フッ化ナトリウム 9,000ppmF サンスター 酸性
バトラーフローデンフォームN 泡状 フッ化ナトリウム 9,000ppmF サンスター 中性
*この他フロアーゲルがあり、ゲル状で酸性フッ化ナトリウム。甘い味が苦手な成人の患者さんに使用感が良いそうですが、現在販売中止のようです。

2)フッ化物の種類
フッ化物 組み合わせ可能な研磨剤
モノフルオリン酸ナトリウム すべての研磨剤
フッ化ナトリウム 無水ケイ酸・ピロリン酸カルシウム・不溶性メタリン酸ナトリウム
フッ化第一スズ フッ化ナトリウムに同じ
*どの種類にもう蝕予防効果に差はない。

3)歯面塗布剤の選択
利点 欠点
溶液(液体) 部分塗布を行いやすい。 一般的方法(綿球法)では、塗布時に湿潤状態を保つため、繰り返し塗り付けなければいけない。
フォーム(泡状) 歯間部、隣接面にも入り込みやすい。応用時に誤飲の心配が少ない(使用量が少ない)。 容器の管理に注意が必要。(容器の頭部が乾燥してフッ化物が結晶化してしまうとフォームがきれいにでない)
ゲル(ジェル) 塗布しやすく、歯面への停滞性が良い。塗布状況が明瞭である。 隣接面に入り込みにくい。
塗布後薬剤を拭う操作が必要。

酸性タイプ 年1〜2回の塗布 チタンなどの金属に対して腐食性がある。
中性タイプ 口腔内の補綴状況に左右されずに使用できる。 1週間に1〜2回の塗布間隔で、連続4回塗布を1クールとして年に1〜2クールの塗布が必要。

4)歯面塗布の方法
①歯ブラシ法
歯ブラシの毛先にゲル剤をのせて歯面に塗布する方法。
主な使用薬剤→フルオールゼリー
②一般法
綿球および綿棒に、溶液状あるいはゲル状のフッ化製剤を浸して歯面に塗布する方法。
主な使用製剤→フローデンA、フルオールゼリー、フルオールN液
③トレー法
既製のトレーまたは個人トレーにフッ化物やゲルをのせて歯面に塗布する方法。1度の全額すべての塗布が完了するため時間の短縮が可能。
主な使用薬剤→液体、ゲル状、フォーム状が使用できる。
④イオン導入法
微小電圧を用いて人体を(+)に荷電し、歯の表面からフッ化物イオン(−)を浸透させようとするもの。
主な使用薬剤→中性のフッ化ナトリウムを用い、リン酸酸性フッ化ナトリウムの使用は避ける。

*どの方法でも適切な応用方法を実行すれば効果に差はない。ただし、イオン導入法は効果が低いとの報告もあるよう。
この他ゲルタイプをシリンジにいれて塗布する方法もあります。


参考資料:歯科衛生士のためのフッ化物応用のすべて、サンスター医薬品カタログなど